Afterword

"あとがき"

このサイトは私が芸術を鑑賞するにあたって一体何を重要なポイントとして捉えているのかを、一度吐き出し、理解するために作成したものである。
そんな中で見えてきた重要な点は「共感」である。理想的な芸術の形というのは、共感不能の中に共感可能な部分を内包しているものだと私は思う。

例えばデュシャンの「泉」をはじめとした現代芸術は一般人にとっては「誰にでもできるもの」として認識されてしまう。
これを「芸術作品は作者の寵愛を受け、丹精込めて作り上げるものだという当時の常識を完全に破壊した作品」
として見たときにはその価値は大きく変わってくる。
つまり、芸術は見えないものであり、我々が目で見ているのは所詮副産物であり、ただの記号なのだ。

しかしながら、その本質部分が理解されるまでに鑑賞者が至らない作品というのもたくさんある。
そういった作品はヴィジュアルから感じるものが特にない。ヴィジュアルは所詮副産物ではあるが、この作品には何かありそうだと思わせる必要がある。
詰まる所、その芸術の問題提起であることが大切なのである。
そして、そういった「気迫」は細部にこそ宿る。

芸術は間近で見なければその気迫までは感じることができない。
だからこそ実際に美術館に足を運んでみることをお勧めしたいし、
絵を描くことが大好きだ、もっと高みを目指したいという人は必ず足を運ばなければ行けないと思う。
素晴らしい絵画というものは一目で人を惹きつける。
そして人を惹きつける絵画というのは必ず背景に巨大なバックボーンがある。
人は単に「その絵」を見ているのではなく、その裏に連綿と連なる歴史を見ているのだ。

芸術は常にムーブメントの中で繁栄してきた。
印象派であったり、ウィーン幻想であったり、ある一定の「塊」であることが重要なのではないだろうか。
だからこそ日本にもモンマルトルのような芸術の街があればいいなと思う。
「アートによる町おこし」ではなく、「アーティストの集まる街」だ。
私はそんな街として横浜が最適ではないかと思う。
少し現実的な話をさせてほしい。

横浜は言わずと知れた都会である。
しかしまだまだ緑が多く残された地域もある。
自然に囲まれ、余計なノイズを排除した状態で、絵画に向き合うということは、芸術家誰しもの夢ではないだろうか。
だからといって不便で、日常生活にいちいち支障が出ていては、時間が勿体無い。
「電車1本で、都心に足を伸ばせる田舎」というのはクリエイティブにとって大きなメリットであると思う。
日本各地で〇〇展はしょっちゅう開催されているが、その数、頻度において東京都心に勝る地域はない。
多くのインプットを得ることが、質の高いアウトプットに繋がる。
つまるところ、いかに東京都心に近いところに住むか、これが芸術家にとって非常に重要であると私は考える。

奈良や京都など、歴史ある街でこそ得られるものはもちろんあるが、横浜なら新幹線のアクセスが抜群なのはもちろん、羽田空港もすぐ近くにある。
何より、鎌倉という国内有数の歴史的都市が身近にあるアドバンテージはかなり大きい。

実際に住むとしたら緑区をおすすめしたい。
駅周辺は流通数が少ないため古い築年数でも高くなりがちだが、徒歩20分以上を許容すれば、比較的ゆったりした大型の戸建てが売りに出ている。
相場は決して安くはないが、横浜市内では手頃と言えよう。
(【ミック売買サイト】横浜市緑区の中古一戸建て)
この日本で、稼げる芸術家はまだまだそう多くない。
値段が安く、広い家に住めるというのはとても重要である。

横浜市というと、高層ビルやマンションが立ち並ぶ「ザ・横浜」という風景を想像するかも知れない。
しかし実際には18の区がある。
古き良き下町の雰囲気を残す地域、港湾都市、田園住宅地など様々な顔を持っている。
その中でも緑区は随一の緑被率を誇るにも関わらず、主要駅の長津田駅からは都心に電車1本でアクセスできる。
自然と便利さを兼ね備えているのである。
(参考:横浜に“家”を買いたい人のための「住みやすさガイド」)
(参考:緑に関するデータ 横浜市)

絵画というものは音楽と同じく、太古から受け継がれてきた人間の根源的欲求である。
壁を作り出さずに通じ合うことのできる究極の言語であるといっても過言ではない。
だからこそ、もっと発展してほしいし、そのためには様々な感性が切磋琢磨できる環境を創り上げることがとても大切なことだと感じる。
横浜は表に見える美しい顔だけでなく、アンダーグラウンドシーンも発展している。
もっと面白い人々が集まればもっと横浜はディープで、尖った街になっていくことだろう。
だからこそ若い人たちには横浜に移り住んでほしいのだ。
日本にアーティストの集まる街ができることは私の夢でもある。
ぜひ一度検討してみてはいただけないだろうか。

現在、目先の結果ばかりが求められる社会になってしまった日本において、
アーティストは楽しいことばかりしている、遊んでいると誤解されてしまいがちである。
しかし本来、1を創り出すことは最も尊ばれる行為だと思う。
アーティストがお互いに切磋琢磨し、大きなムーブメントを起こしていくことで
もっとアーティストに対するイメージが向上し、
素晴らしいアーティストがより輩出されるような日本になることを私は願っている。